2012年01月28日

「全国百貨店売上高」平成23年12月及び1月〜12月の概況

平成23年12月の全国百貨店売上高概況が、日本百貨店協会から1月19日にプレスリリースされています。同時に平成23年1月〜12月の去年通年の売上高も公表されましたので、今回はこの数字もご覧いただくことにします。
平成23年12月概況は以下の通りです。

全国百貨店 売上高速報2011年12月.jpg

1.売上高総額:7,318億円余
2.前年同月比:0.8%(店舗数調整後/6か月ぶりプラス)
3.調査対象百貨店:86社 254店(平成23年11月対比±0店)
4.総店舗面積:6,408,844u(前年同月比:−0.6%)
(以下略)

全国百貨店 売上高速報2011.jpg
平成23年1月〜12月売上高(都市別売上高)




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posted by 松村和弘 at 21:02| Comment(1) | 近畿経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年11月30日

神戸特集(最終回):ポートピア博の頃、アパレルに学ぶ経営

神戸特集を1〜4まで書いてきたが、総括としてアパレル企業を具体的に説明したいと思った。
記事としてはホームページの内容にそぐわない面もあり迷ったのだが、あえて読者各位に供して判断を仰ぐことにした。
あと都市にとって重要なことに、都市交通の問題もある。鉄道交通と道路整備がその中心になるが、これは機会をあらためて書きたい。神戸特集・連載のリンクを入れておくことにする。

神戸特集(1):苦境に立つ神戸
神戸特集(2):梅田集中の潮流
神戸特集(3):奇跡の残像
神戸特集(4):ポートアイランド・二つの超高層

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ファッションタウン遠景

1980年代、神戸が注目されていた頃、ワールドもよく話題になっていた。ワールドはとんでもない収益を上げているらしかったので、私はアパレルという業種に惹かれた。
そういえば、イメージ広告「FM放送でCMやっていたよね」・・・
当時、ワールドについての本を買って、むさぼるように読んだ記憶がある。そこには創業時代からのやり方、なぜ大きくなったか、成長の軌跡が書かれていた。

調べてみると現在の売上げは3000億円規模とのこと。やはりアパレル企業のトップに君臨していた。成長はとまっていなかった。
3000億円企業などというと、それほど規模が大きくない印象になるが、非常に高収益体質なので、めちゃめちゃ儲かる会社であることに変わりない。
最近の変化は、自社株式取得による企業買収防止策での上場廃止になっている。上場企業から未上場になったのが、プレス報道など、最近のワールドの企業情報の少なさだったようだ。

神戸の有名なアパレル企業には、ワールド以外にジャヴァグループもあり、この企業の本社も同じポートアイランドに、ユニークな本社ビルを建てている。さながらロサンゼルスにも似た景観を形成している。いえることは、ビルは高さだけではないことを強烈に認識させられる街区になっている。

そもそもワールドなどのアパレル企業とは、どういう産業になるのか、認識しておく必要がある。これを書きだすと一冊の本になるくらい膨大な分量になるので、最小限にとどめるが、たんにアパレルという場合は「アパレル・メーカー」の略語として「アパレル」といわれる。
私は当時、都市論と絡めて、ワールドがなぜ儲かるのか考えていた。
運輸や通信などをべつにすれば、世の中の産業は大きく分けると、製造業・卸売業・小売業の三つに分類できる。

もしあなたが、独立起業して一から事業をはじめるとすれば、資金さえあれば素人でもできるのは、製造業か小売業になるだろう。製造業は技術を開発するなり、習得するならば、製品を造りさえすれば何とかなる。ダイエーやジュンク堂のように小売業も店舗さえ持てばその日から商売になる。
ところが卸売業はどう逆立ちしてもできない。この場合農業は製造業の一種と考えるとわかりやすい。非常に手間のかかるのが製造業だが、できた製品(コメ)は農協なりが買い取ってくれる。
手間のかかる製造業は販売にまで手が回らないので、販売は専門商社が分離独立していることが多い。

卸売業は物を右から左へトレードするだけで利益があがる。いわば搾取的な性質を持っているが、江戸時代から巨万の富を築いた豪商は卸売業で、これが現代の総合商社につながっている。
卸売業を開始するには、どこかの企業で経験が必要になる。営業や商品の知識が必要という意味ではない。卸売業の起業条件は得意先と下請け工場の確保になるが、とくに顔のつながりの効く得意先がある程度ないとスタートできない。だから、どこかの企業からの独立というカタチでしか成立しないのが普通である。

専門卸の衣料問屋はメーカーに偽装することで付加価値を持ち、製造業と卸売業の強さを合体させて、アパレル・メーカーが成立したことになる。だからといって、必ずしも自前で工場を持つ必要もない。国内に下請け工場を確保するか、外国の工場と提携してもよい。日本の食糧が外国に頼っているのと同じといえる。
もう一つの有利さは、価格設定の自由度が大幅に高まり、あまり競争相手を意識することなく、ブランド付加価値によって高価格設定が可能になる。多少誇張的にいえば、製造原価100円でも、上代売価数万円設定も可能ということ。それこそがブランド信仰など付加価値の意味といえる。

ワールドも例外ではなく、卸売からの出発だった。はやくいえば問屋だった。伊藤忠や丸紅と同じ卸売業に分類されるが(業種については新聞の株式欄で確認してもらうとよい)、アパレルだから衣料問屋。この分類は製品の分類ではなく、縦系列の分類になり、製造・卸売・小売というように、川上・川下などといわれる。

問屋、卸売業の有利さは設備も店舗も持つ必要がなく、営業マンが得意先を回って注文を聞いてくるだけでよい。トレードとはつまり行商ことだったのだ。江戸時代から近江商人がやっていたあの行商。
立派な本社ビルがあっても、実体のないただのオフィス。本当はオフィスさえいらない産業なのだが、それでは信用されないから、はったりでビルを構えている。建設業の本社もこの傾向が強いのだが、本社やオフィスビルの本当の意味は、実体のないことかもしれない。デスクワークの場所があればどこでも十分なのだが、あえて都心部に立派なオフィスを構える。
その綺麗な高層ビルには、実体はないけども重要な部門が入ることになるから、重要なのは企業のオフィスであって、煌びやかなデパートの売場でもないし、生産現場の工場でもない。

閑話休題、行商の意味にもどる。
得意先回り、つまり行商は油断するとライバル企業に入り込まれる恐れもある。ライバルに食い込まれないためには、他社にないオリジナル製品の開発が必要になる。小売店はよく売れる製品は継続して扱って定番にしてくれる。浮気される心配がなくなる。

ワールドは創業者の、たぐい稀な営業力でグングン業績を伸ばしていったが、それだけでは平凡な中小企業で終っていただろう。ワールドの創業家には営業力に、企画力と構想力もそなわっていたのだった。

ワールドが本格的に飛躍することになったのは? トータルコーディネートブランドの戦略だった。創業から8年目の1967年、最初の婦人服ブランド・コルディア(CORDIER)を開発、展開することになった。それ以後、すべての製品が自社ブランドとして開発されている。

ワールドの最大の特徴は、ワールドという企業名は一切出さず、ブランドがあたかも一つの企業組織として、製品から店舗まで独立展開している点にある。製品ブランド別の戦略をとっており、ブランド数は数十種類にのぼる。
かつて衣料問屋は大きくなったらつぶれると言われた教訓からか、おそらく社内的にもブランド別にチーム部門が分けてあるのだろう。
20数社の集合体のような組織にしてあると思われる。多ブランド化の有利さは足の引っ張るブランドがあっても、好調なブランドが企業業績をささえてくれるのがわかる。社内での競争も加わって、士気高揚の好循環にもなる。

主力になる婦人服ブランドには多くのブランドがあり、子供服や紳士服についても複数のブランドがある。その一つ一つのブランドがトータルで展開されているから、一つのブランドで女性の着るものが揃う。ブランドの違いは年代やグレードやティストの違いでいくつにも分かれる。
おそらくブランド別組織の独立性が重要と思える。「そんなのうちもやっています!」といってみても、カタチだけのブランド戦略になるのがほとんどだろう。会社名さえ出さないのがワールドのすごいところ。

ワールドのブランド戦略はすでに40年前から徹底していたが、トヨタ自動車も最近この方式を取り入れる予定と発表していたことがあった。詳しく知らないが、レクサスやネッツだったか、トヨタの名前を出さない政策と新聞で見た記憶があったのだが、ネッツ系列は見送ったのかもしれない。

パナソニックはブランド統一のために社名変更に踏み切った。これは製品の違いによるのもあるだろうし、そうでない面もある。テレビの「ビエラ」など製品別のブランドはすでにあり、どっちが正解か神のみ知るとしておこう。
いえることは、一つのブランドで他社に負けない強さがないといけない。パナソニックはさらにブランド力を強化し、ブランドに磨きをかける方向に動いた。
強いブランドが多数あるのがワールドということ。カタチだけの多ブランド化では、強さより先に多ブランド化そのものが目的になりがちである。

繊維・アパレル企業というと、大阪船場の得意分野になるのだが、素材寄りの大企業が多い。
「帝人」「東レ」「東洋紡」「ユニチカ」「クラボウ」「クラレ」「グンゼ」などは今も大阪に本社を構えているが、ファッション寄りの企業として思いうかぶのは、船場の「イトキン」、天満橋の「ラピーヌ」などだろうか。
他には「レナウン」「三陽商会」「オンワード樫山」「東京スタイル」などがあるが、どっちかいうと関東系になるだろう。アパレル分野では付加価値戦略で船場は神戸に出し抜かれた。

最後に「ファッション雑誌ブランドナビ」から、コルディア(CORDIER)の店舗を紹介しておこう。
『CORDIER は、「品位と甘さ」・「品質と着心地」をテーマとした大人のエレガンススタイルを提案するファッションブランドです。服(レディース)&雑貨を取扱いしています。』
それに、全国のCORDIERの店舗が紹介されている。それによると各県に1店舗が多いが、
大都市でみると、東京:7店 神奈川:3店 愛知:4店 大阪:9店 兵庫:2店 である。これも都市規模、高級品の購買力がよく表れた店舗配置といえる。


【※追記】:ワールドの政策について再考してみた。ブランド戦略にはちがいないのだが、いわゆる海外ブランド品のような意味とは方向が全然違う。どちらかというとブランドは区分けであって、企業運営に強さを求めた組織の仕組みの違い、政策的意味合いが強い気がしている。
これは大阪都構想のかかげる区を独立自治区として、その集合体がワン大阪というのとまったく同じ意味と理解するのがより事実に近いと思う。





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posted by 松村和弘 at 13:09| Comment(0) | 近畿経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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